米塚
むかしむかし、阿蘇は大飢饉にみまわれました。食べるものがなくて困った人は、飢え死にしたり、草を食べたりしていました。阿蘇の神様は、かわいそうに思って、手に米をすくい取り、空からふらしてあげることにしました。
そうしてできたのが、現在の「米塚」だと言われています。

写真で見てもわかるように、米塚はとてもきれいな形をしています。山の底からてっぺんまで80メートル。小さいながらもれっきとした火山のひとつです。あとで詳しく説明しますが、この山は噴火が起こった後に、ある「崩れ」方をしました。この山の芸術的な形は、火山のできかたに深くかかわっているのです。
米塚の誕生
米塚は、阿蘇にある火山の中でももっとも新しいもののひとつで、およそ1000年前にできたと考えられています。
米塚のでき方について簡単に説明しましょう。

@ マグマが地下に眠っています。この状態では、マグマ自体の重さ、あるいは上にかぶさっている岩の重さによって、圧力がかかっています。

A 何らかの理由でマグマが地表近くまで到達すると、上にかぶさっている岩が少なくなる分、マグマにかかる圧力が弱くなります。マグマの中には普段、気体などが強い圧力によって押しつぶされるようにして溶けているのですが、圧力が弱くなりその気体が気泡となって生じてくるようになります。

B 気泡が生じると、その気泡に浮力などがかかるため、その気体に勢いがついて岩盤を突き破ります。そうすると、マグマ中の気体は一気に放出され、マグマが思い切りよく飛び出します(放出の様子はシャンパンを想像してみて下さい)。
C 上に噴き出したものが降り積もり、山ができあがります。
米塚のでき方が、わかっていただけたでしょうか?
スコリア
では、次にこの写真を見てください。

これは米塚を形成している石で、スコリアといいます。
よくみると、石には小さな穴がたくさんあいています。スコリアとは黒い軽石のようなものだと考えてください。それでは、ここで問題です。なぜ、この石にはこんなに穴があいているのでしょうか?
答えは、急激に冷やされたから。もっと詳しくいうならば、外に飛び出したマグマ(図B参照)が、そのまま空中で冷やされたことにより、中の気体が抜けていったときの形が残ったものだと考えられています。スコリアは火山が噴火したときの様子を今に伝えているものなのです。
安息角
「米塚」の項目の最後として、安息角をとりあげましょう。
米塚のこのかたちは上に積み重なったものが崩れてきて安定になったものだと考えられますが、この角度のことを安息角といいます。米塚の安息角は、およそ24度。砂を使った実験(米塚だけに米を使えばよかった、ということに気づいたのは実験が終わったあとなのでした・・・)で形成された安息角と比較してみることにしましょう。
実験で計測された角度はおよそ30度。だいたい同じであるということがわかりました。案外、神秘的な形の原因だって身近にあるものなのですね。
